第26回(2002年1月1日)  アンティークはファッション?

 ヨーロッパでアンティーク(Antiques)は100年以上経った骨董品のことです。
日本では、100年以上が骨董、未満をアンティークと使い分けている感じ。
和製英語ですね。
 英語ではガラクタならジャンク(junk)、ガレやドーム、クラリスクリフ等の
100年以内の美術工芸品をアプライド・アート(applied art)と呼びます。
もっと最近の、ここ50年以内の物はユーズドウェア(used wear)、中古品。

 和製英語でアンティークに分類される物はファッションのように流行が巡ってきます。
数年前にはイギリスの作家スージー・クーパーの食器がブームになりました。

 その頃、イギリスの田舎町でのオークション。
そこではスージー・クーパーの食器の中でも特に人気の「パトリシア・ローズ」がセットで出品されてます。
エスティメート(予想落札価格)は20〜35ポンド、日本円にして5,000円くらい。
これは安い!
当時、パトリシア・ローズのポットが20万円で取引されたという噂を聞いたとこでした。

 もし、私がエスティメートの10倍、300ポンドで買っても6万円。
それぐらい出したら買えるに決まっている!こんな田舎のオークション、、、
と勇んで参加!

 朝、10時から始まるオークションに9時半に行って良い席を取ります。
イギリスのオークションでは1時間に150点ずつ落札されていきます。
途中、売り手がキャンセルした品やエスティーメートの読み違え、
カタログにある説明と状態や数が違う物、オークショナーが説明を入れます。

 ようやく私のスージー・クーパーの番が来ました。
イギリスでの流通価格が30ポンド。
私はそれを300ポンドで買おうと思ってるのですから自信満々、余裕しゃくしゃく。
敵がいたら、400ポンドでも出してやる!太っ腹〜〜

 ところが、いきなりオークショナーが
「スージー・クーパーのパトリシア・ローズには信じられない入札が入っています。
では、800ポンドから始めます。
800ポンド、800ポンド、850ポンドで買う人はありますか?」
「はい、850ポンド」
「900ポンド」
「950ポンド」

と、私の意気込みはあえなく撃沈。
あれよあれよと言う間に値段は2000ポンドまで駆け上がり。
イギリスのディーラー2人とテレフォンビッダーと呼ばれる電話でのオークション参加の3人の戦い。

 電話で参加するのは1分ごとに90ペンスのチャージがついて高い。
だから、大抵はテレフォンビッダーが勝ち残ります。
オークショナーもよくわかっているので、会場の人に声を出さず、合図して
「one more,one more(もう 一声、もう 一声)」と競り値を上げさせます。

 インチキじゃないの?!こんな風に値上げしてずるい!?
と思っても、もしかしたら次の値段で私の物に、、、なんて欲が出て、、、
ついつい、もう一段高く入札に参加。
結局、品物は他の人の手に落ちて、、、、私は何だったの〜
と言うことがままあります。

 で、先程のスージー・クーパー、
オークション会社の値踏みが30ポンド、それが2000ポンド、あんまりだ。
会場内もザワザワして、みんなキョロキョロ
「いったい誰が買ってるんだ」 という会話。

 突然、競りは2400ポンドで終わりました。
その後もオークションは続きます。

 その日、私は朝から午後3時まで会場に座っていて、何も買えませんでした。
買いたかった物が全部予想より高くなったのです。

 帰りに近くのアンティークセンターに寄りました。
スージー・クーパーの専門店が何軒もあります。
お店の人に
「今、近くでオークションに参加してたんだけど、パトリシア・ローズがすごい値段で売れたよ」
と言うと、噂はすでに伝わっていて、
「知ってる。あれは日本人の XXXさんの注文で3人のディーラーが競り合ったんですよ。
2000ポンドを越えたときに、3人は同じ人から注文を受けていることに気が付いて、競り合いを止めたのですよ」

 その頃が日本でのスージー・バブル絶頂期でした。
お皿やコーヒーカップが1800年代のマイセン磁器やイギリスのウースターより高くなっていました。
最近では骨董祭でもあまりスージーを見かけず、ブームが去った感じです。

 その後、このアンティーク・ファッションブームは「ホーロー缶」、「クリームポット」へと続きます。
その次は何でしょう?誰かおしえて!
 
 by mikiris


第27回2002年2月1日)    ブレックファースト

 旅先でのホテルの朝食はとても楽しみ。
時差のせいで早く目がさめて、お腹がペコペコ、待ち遠しい。

 イタリアやフランスでは伝統的なコンチネンタル。
ジュース、カフェオレ、クロワッサン。
いくらお腹がすいていても、そんなにたくさんは食べられません。

 ベルギーの朝食はもう少しリッチ。
ジュース、コーンフレーク、パンが5種類、コーヒー、紅茶、ゆで卵、
ハムとチーズ、果物がいろいろ。

 ブリュッセルのホテル・メトロポールはアールヌーボーの建物です。
天井の高い宴会場で朝食を取ります。
果物を2メートル位積み上げたタワーがあります。
ボーイさんがはしごを使って毎朝作るのです。
 そこから取って、食べてもいいのかな?と思うくらい。
王宮で朝食を取っている気分。

 オランダの朝食はもっとすごい。
焼きたてのパンが10種類、何種類ものハム、生ハム、ソーセージ、
ベーコン、スモークサーモン。
 ジュースも5種類、卵はゆで卵、スクランブル。
チーズもシリアルも種類が豊富。
果物はあるけど、タワーにはなっていません。

 イギリスの朝食はもっともっとすごい。
イングリッシュブレックファーストと言うくらい有名です。
街中のカフェでも午前中なら食べられます。

 三角の揚げパン、分厚いベーコン、目玉焼き、豆のトマトソース煮、
薄いサンドイッチ用パンのトースト。茶色と白があります。
茶色(ブラウン)は胚芽パンで白は普通の食パン。
オレンジジュースとコーヒーか紅茶を付けて、3,5ポンド。

 ホテルの朝食はまだまだすごい。
パンは20種類、菓子パン、ドーナツ、北欧のパン、マフィン、オーガニックパン。
ホットケーキにパンケーキ、ソーセージもデザートもいっぱい。

 卵の注文が以外に面倒くさい。
コックさんに「目玉焼き」と言っても、
「卵はいくつですか?
 片面焼きか両面焼きか?(sunnyside or turnover)」
オムレツを注文するのも
「卵はいくつ? 半熟かよく焼くか?」
「フツーでいいのよ! フツーで!」
横で見ていると、みんな結構うるさく注文している。

 何泊もするときは「今日はこれくらいにしておいて、明日また違う物をトライしよう。」
と楽しみがあります。
1泊しか泊まらないときは朝から悩んでしまう。

 朝食のバイキングには見たこともない物も並んでいます。
日本でもシリアルの種類が増えましたが、まだまだコーンフレークが主流。
胚芽のフレーク、ドライフルーツ入りや丸いフレーク、針みたいなのもある。
 鳥の巣か、ラーメンみたいなの、どう見ても人間よりも鳥の餌みたいな物。
 ある時は「えーっ、朝からコロッケが山積みになっている」
と見間違うほどのシリアル。

 初めての物は食べてみる、私のモットーです。
ボールにコロッケを入れ、砂糖とミルクをかける。
最初はカチカチ、ミルクで固まった胚芽や麦が溶けてくるとベチャベチャ。
感想は?
「面白かった」でしょうか、、、

 スコットランドやアイルランドでは朝食にポリッジ(porridge)があります。
大鍋に入ったおかゆです。
味は何もついていません。
好みで砂糖、ケチャップ、ソース、ジャムを混ぜて食べます。
一回でノー・サンキュー。

 ハギスは動物の内臓で作ったソーセージ。
外観は蜂の子を固めたような感じ。
菜食主義向けにはベジタリアン・ハギスがある。
これなら私でも食べられる。
 おいしいものなら世界中に広まって、日本にも入っているはずです。
入ってないと言うことは、・・・と言うことです。
 それでも、何か新しいものを見つけたら、これからもどんどんトライしちゃうぞ。
  
  by mikiris


第28回2002年3月1日)    海外で被害に遭うパートV

 ここ数年、ロンドンでの宿泊はヒルトンホテルです。
3泊程と短いのと、アメリカンスタイルのホテルで部屋やサービス、お風呂などに当たり外れが無い。
仕入れてきたアンティークを部屋に置きっぱなしにしても盗られないことが理由です。

 今回の仕入れ、友弥人が一人で行きました。
インターネットのHPを開設してから、国内仕入れも海外仕入れも友弥人が一人で行ってます。

 2月16日までいましたが、ヒルトンメトロポールに宿泊しました。
ここはロンドンで一番の巨大ホテル。
30階建てのタワーが何本も建っていて、メインタワー、エグゼクティブタワー、新館の他、まだまだ増設中です。
 地下鉄エッジウェアロード前50m、向かいには大きなスーパーが朝7時から開いています。
とっても便利で良いホテルなのですが、宿泊したら2回に1回は非常ベルが鳴ります。

 前々回は夕方6時頃、館内の電気が全部消えて、非常ベル!
向かいのスーパーでサンドイッチを買ってきて、一口食べたとこ。
もう何回も非常ベルにあっているけど、狼少年みたいにいつか本当のベルかも知れない。
 仕方なく、ロビーに降りました。
20階から非常階段を駆け下りです。
ロビーも真っ暗であちこちにロウソクが立っていました。

 さて、今回、また鳴りました。
夕方5時頃、早く仕事が終わったので裸になって、お風呂に入ろうとしたとき。
突然停電。
 これはマズイ!
遠くのほうで非常ベルが聞こえます。

 手探りで服を探して、着替え。
不幸は重なるもので、ズボンのチャックを閉めたのに前が開いている。
こんなときにかぎって、チャックが壊れてしまった。
「バカー」 とズボンを投げ捨てて、別のに履き替える。

やっとこさ、部屋の外に出ました。
今回は6階の部屋だから、すぐ降りられる。
部屋から非常階段まで暗い中を手探りです。
エレベーターの前を通ると中からか細い声で「help、、、、」
 でも、どうしようもない。

 ロビーに降りたら人でいっぱい。
フロント前のエレベーターは透明のガラス張り。
それも止まったまま。
 中に人が乗っていて、ガラスに張り付いて不安そうに下を見ています。
下にいる人たちはそれを指差して「 Look at that !」(あれを見てみろ)
ホテルのスタッフも誰も助けに行けません。
 こういうときは映画の「タワリングインフェルノ」や「大地震」の場面が頭をよぎる。
 消防車も何台も来て、大騒ぎ。
結局、15分ほどで回復、エレベーターの電源の故障でした。

 翌朝、部屋のドアを開けたら、目の前にハート型の風船がフワフワと浮いていてビックリ。
紐が付いていて、ピンクのチェリーチョコが結んであります。
ワー! ホテルからバレンタインチョコレートのプレゼント。
 見ると、全室の前にチョコに結わえてハート型風船がフワフワ。
あちこちのドアが開くたびに 
「Oh!」 とか
「Wow!」と聞こえてきます。

 この日は2月14日、バレンタインデーです。
女性から男性に愛を告白する、、、のではなく、お互いにプレゼントを贈る日。
女の人はハート型のガス風船をハンドバッグや旅行カバンに付けてお出かけ。
ホテルのロビーと近くの道は風船だらけ。
 毎年、誰からもチョコをもらえない友弥人、今年は良かったね。

  by mikiris


 第29回2002年4月1日)  あなたの骨董品、本物?偽物? 

 誰でも一度は自分の買った骨董品を
「これは本物だろうか?」 と思った事があるでしょ。

 家に持って帰って、包みを開いて 「はて?」
いやいや、帰り道で 「高いお金を払ったけど、贋物をつかまされたんじゃないか、、、」
 はたまた、何年か経って、ある日突然
「これは骨董屋にだまされたかも知れない」

 先日、母が電話をしてきて
「20年前に骨董屋さんで買った、朱塗りの盃、5枚で3万円やったけど、プラスチックと違うやろか?」
 私はすぐに
「水の中に入れて、浮かんできたら木、沈んだままやったらプラスチックや」 と答えました。
 お雛様用の盃は5枚とも浮かんできませんでした。
お母ちゃん、やられたね、、、

 骨董品を本物か贋物か見分けると言っても、1人で何もかもわかる人はありません。
プロの人でも得意分野があります。

 東京の叔父と食事に行ったとき、レストランに絵画が飾ってありました。
絵画に詳しい叔父は
「ほー、これはヴァン・ドンゲン(van dongen)だね」
「こちらはオギスだ」

 絵画にうとい私は荻須画伯はわかっても van dongen は知りません。
そんな叔父にも、タイルやレースは未知の分野です。

 骨董と一言で表しても、つまりは世界中にある美術品的価値のある古い物全部の事。
各国、各時代、様々な物があります。

 骨董屋さん達は初めて目にする物を前にした時
「何かわからないけど、買ってみよう!」
と買ってみます。

 家に持ち帰って、本を開いたり、博物館、資料館で似たものを探し、知り合いの業者に見せて、それが何か突き止める。
そんなことの繰り返しと色んな人との情報交換で見分けるコツをつかんでいきます。

 私だって今では門前の小僧なんとか、、、で
元禄伊万里とチャイナ伊万里、明治時代に作った元禄写し、大聖寺伊万里の見分けくらいは一目瞭然。
どうしてこれが同じ物に見えるのか フ・シ・ギ と思ってしまう。

 伊万里はベテランの絵付け師がノリノリで筆を走らせている感じ。
平戸は色白で上品、繊細です。
亀山は明るい、濃い呉須でいっぱい絵を描いてる。
波佐見はちょっと色黒か。
大聖寺は真面目な絵付け師が正座して描いたみたい。

 でも、10代の頃は明治印判と江戸の手描きの見分けもつかなかった。
私にとっては「骨董屋さんに並んでいる青い古い食器」
 そば猪口1個500円で売っている店は良心的な安い店。
同じ様な物を1個5000円で売っている店はぼったくりの高い店。
 今から考えるとどっちがどうだったか、、、
私には似て非なる物が同じに見えてた。

 知り合いのベテランコレクターが骨董歴0年の初心者の友人と一緒に骨董祭に行きました。
初心者はいつもベテランコレクター宅で、古伊万里のすてきな器でもてなされていたので、
自分も買ってみたくなったのです。

 古伊万里の定番は蛸唐草。
骨董祭会場では、あちこちの店が蛸唐草を出している。
蛸唐草でも2重線をダミで埋めた物で江戸中期だったりすると、とても高い。
 どこの店でも江戸中期〜後期で七寸皿なら、一枚数万円。
初心者にとって、先生が横に付いて、品定めをしてくれても、日常の食器に何十万円も出すのは高い気がする。

 いつしか、広い会場の中で2人ははぐれてしまった。
数十分後、再会したとき、初心者は大喜びで戦利品を見せました。
「一軒だけすごく安いお店があった。 掘り出し物をしたの。」

 それは、現在どこかの製陶所で作っている蛸唐草の写しの皿。
5枚買って、何万円か、、他の店よりはるかに安いが、、、
スーパーの前でやっている陶器市かデパートで買ったら、もっと安いよ。

 ベテランコレクター、それを見て
「ア〜〜ッ」 と思ったけど何も言えなかったそうです。
買う前に相談されていたら、「やめとき」 と言えたのに。

 磁器の新しい、古いはけっこう簡単に見分けが付く。
見慣れてくると、大抵の物は肉眼でわかるけど、最近はとても良くできた「芙蓉手」や「藍柿」、上手の伊万里が出ている。
又、古い物でも辻窯のようにあまりにも良く出来ていると、最近の印刷のように見えます。

 そんなとき、拡大鏡を手にとって、磁器の釉薬を見る。
古い物はブツブツと泡だって、蜜柑の肌。
新しい物はつるつる肌。
 変形の物は昔でも型で作っていますが、大抵の焼き物はロクロ引き。
すかしてみるとロクロ目が、、、。
丸いお皿でツルツル肌、ロクロ目がなくて江戸中期なんて、すごく、すごく怪しい!

 わからない時は人に聞いてみましょう。
自分より年下の骨董屋に
「わからないから、教えて下さい」
なんて、恥ずかしくて言えない、と思っていると大損です。
 若くても、勤勉な骨董屋さんはたくさん居ます。
皆、話好きの説明好き。
お客様に本物を買って欲しいと思っています。

 私はいつでも、誰にでも 「教えて」 攻撃。
恥も外聞もないからネ。
門前の小僧、だいぶお経を覚えました。

 by mikiris



第30回 ( 2002年5月1日)  アンティーク・シルバー 

 家で日常に銀食器を使っている人、まだまだ少数派です。

 高級、手入れが大変、黒くなる、のイメージが先行しているから。
大切に仕舞っておくと、こういう事になります。

 すごいお屋敷に住んでる大富豪のお宅なら、
数十人用の銀のナイフ、フォーク、ポットやお盆、
燭台にセンターピース、何百点も銀器が揃っているでしょう。
銀磨き専用の召使いが要ります。

 電話セールスの人は
「奥様、いらっしゃいますか?」
 と言うけれど
この家の”奥様”は外で仕事をして、食事も作る、洗濯、アイロン、なんでもする。
拭き掃除や庭の草引きもする。
召使い、何人分も1人でこなす。
 オマケに銀を磨く時間なんか無い!

 銀食器の良いところ。
毎日使うと、手入れ要らずです。
他の食器と一緒にあらって、普通にしてるといつもピカピカ。
 
 いっぱい働く人は、ご褒美に「気分リッチ」になりませんか?
毎日の食事に骨董品のお皿や純銀のスプーンを使ってみる。
 こんなの昔は普通に道を歩くような人は使えなかったんですよー。

 粗品でもらった食器やプラスチックのスプーンでも充分生活できるけど。
まぁ、洋服を買うのに、フリースの上着をどんどん買い換えるか、
カシミアの上着を何年も着続けるか、の違いかな。
 世の中は圧倒的にフリース派。

 200年も300年も前の物を未だに捨てずに大切に使い、
このまま200年も300年も残ってくれ、と思うのは消費経済の敵です。
でも、エコロジーの味方なんだ。

 銀食器はステンレスやアルミに比べて、熱伝導率が良く、
アイスクリームを食べたらスプーンが冷たい。
コーヒーや紅茶を混ぜたら、スプーンが熱い。
 冷たい物も熱い物も最後までおいしく食べられる。

 持った感じ、手触りが柔らかい。
シルバー・プレート(silver plated)はメッキです。
残念ながら、使っているうちに端のとんがった所がハゲてきて、口に入れる度にチッと金属の味がする。

 イギリスの銀器は純度が 925/1000、925シルバーです。
現在、世界基準で純度 925以上が純銀、sterling silverです。
昔は国によって基準が違いました。
日本は 925/1000、ドイツは 800/1000、デンマークは 826/1000、オランダは 833/1000。
最低基準なのでオランダで 934/1000 、デンマークで925/1000 もあります。

 銀器をよく見ると、どこかに銀の刻印 (hall mark) がはいってます。
 イギリスの銀には目立つところに一直線に並んで刻印が入ってる。
イングランドの銀には四角い箱に左向きに歩くライオンの刻印(これが銀の証明)。
 
 どこの町の認可かという刻印 (town mark) として王冠や錨、豹の顔。
アルファベットは製作年代を表します。
 その他、王様、女王様の横顔やメーカーのマークが入っている事もあります。

 スコットランドの銀には左向きに歩くライオンの刻印がありません。
エジンバラなら 「岩の上に建つエジンバラ城」、国花の 「アザミ」。
グラスゴーの銀には 「一本の木の根元に魚が置いてあり、
上の枝には鳥がとまり、下の枝にはベルがぶら下がっている」
立ち上がったライオンの刻印が入ってます。

 アイルランドの銀器はアイリッシュ・シルバーと呼ばれ、
首都のダブリンで認可した物は竪琴と女神の刻印です。

 以上は一応の決まりです。
 例外も多くあります。

 特注品やカトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)セットの数が多い物には
その中の一点にだけ刻印全種類を入れ、残りの物には刻印の一部しか入れない。
 ライオンと王様だけで年代を示すアルファベットが無い物、
ライオンと町の刻印だけ、ライオンとアルファベットだけ。
小さすぎる物にも刻印の入ってないことがあります。

 オランダの銀は面白い。
大きな物には菱形の枠内に右向きに歩くライオンの刻印、兵士の横顔、アルファベットがはいってる。
ところが、この刻印は隠して有るんです。
 模様の中に点在して、よっぽど探さないとわからない。
 
 小さな銀器には十字の釘の様な刻印が入ってます。
純度は 835/1000が多いので、純金の24金と比べた18金の純度です。
使うのには一番丈夫かな。

 ドイツの銀は刻印が大雑把で、何年迄はこの刻印を使っていた、
それ位しか証明されず、ほとんどの物が年代不明。
純度が 800/1000 の為、800と刻印してあるだけの銀器が多数あります。

 フランスの銀には神話の「髪の毛が蛇」のメデューサや雄鶏がついてます。

 刻印で EPNS というのがあります。
電気メッキ、electro plated です。
 別の金属に純度 1000/1000 の銀をコーティングした物です。
すぐにハゲてくるのも難点ですが、すぐに変色するのも難点です。
 銀の純度が高いほど早く変色する。

 銀の変色は空気中の硫化ガスを感知して起こります。
金属の表面に硫化銀の膜ができます。
表面だけのことなので、磨けばきれいになります。

 最近はイオン還元で変色を元に戻す銀磨きのフォームが出ています。
食器棚にシリカゲル等の乾燥剤(お菓子や海苔に付いている)を入れておくと変色しません。
 
 肉や卵のタンパク質に触れると黒くなります。
だから肉用のディナー・ナイフの先は鉄かステンレスです。
 
 清潔のしようと漂白剤に浸けると真っ黒になります。
びっくりするくらい、真っ黒になるよ。

 毎日、気に入って、普通に使うのが一番のお手入れ。
今回は銀器に付いてのお勉強でした ^o^

 by mikiris


第31回 ( 2002年6月1日)  パリが消えた 

 ブリュッセルからレンタカーでパリに行く途中の事。
道は一直線に南に向かう幹線道路。
標識のPARISを見て、間違えないように走ります。

 私達はパリと呼んでいますが、これはフランス語読み。
フランス語は最後の子音を発音しません。
英語ではパリス。
 
 走っている途中でいつの間にか「PARIS」と書いた標識がなくなりました。
よく、道を間違えたり、分岐点を見過ごしたりするので、ギョッ。
地図を見ても、正しい感じ。
 山の中の一本道なので、幹線からはずれた覚えもないし、、、、

 次の標識で「PARIJ」があった。
あれ〜?「PARIJ」は「PARIS」の事?
当たり!

 ベルギーの公用語は2つあって、フランス語とフラマン語。
フラマン語はオランダ語に似てるけど、ちょっと違う。
オランダ語の単語をフランス風に発音したような言葉。

 ベルギーのフランス語もフランスのフランス語とちょっと違う。
アクセントが少し重くて、数字などが違う。
ベルギー人いわく、
「自分たちの話してるのは、ベルギー語」
とてもプライドを持っています。
 フランス人いわく、ベルギー語は田舎っぽい。

 両方当たっているような、、、
ベルギーではとっても美味しい、素朴なフランス料理がボリューム満点で格安で食べられます。
やはり、フランスの田舎に居るように居心地がいい。

 ひとつの国の中2つの言語と2つの民族。
どちらかしか話さない人が多いので、案内板、パンフレット、
全ての表示が2つの言語と英語で書いてあります。

 一般にフラマン人は働き者、フランス語を話すワロン人はそうでもない、と言われてます。
フランスに近いモンス(Mons)という町に行ったとき。
ちょうど昼前でした。

 町中のお店をあちこち覗いていると、突然、皆が大慌てで店を閉め始めます。
「なになにー?いったいどうして、店を閉めるの?」

「お昼ご飯の時間だから、店は12時から2時まで休みです。
 2時過ぎに来て下さいね」

町中の店がレストラン以外全部閉まってしまいます。
せっかちな日本人には居場所がない。
 こんな、昔のフランスの習慣が残っています。

 町の名前もフラマン語とフランス語で呼び方が違います。
「フランダースの犬」や「ルーベンスの絵」で有名なアントワープ。
私達は英語でこの町の名前を覚えています。
フランス語ではアンヴェルス(Anvers)、フラマン語でアントウェルペン(Antwerpen)。

 レースで有名なブルージュ(Bruges)はフラマンではブルッヘ(Brugge)。

 学校で同級だった友人の祖父が画家で、ゲント(Ghent)(英語)に住んでいました。
この友人はいつも私に
「おじいちゃんはベルギーのガン(Gand)(フランス語)に住んでたんや」
と言います。
 この町をフラマンではヘント(Gent)と呼びます。

 ベルギーを旅する時はこんな風にひとつの町がいくつも名前を持っていることを覚えておかないと大変です。
列車で駅を乗り過ごしたり、車で別の町に行ってしまったり。

 何もかも一つに統一せずに、全てを受け入れる。
あれは絶対こうでなくてはならない! なんて事はない。
 みんなが解ればそれで良いのだ。
 
 世の中、ほとんどの事がどっちでも OK なんだ。

 ワールドカップの最中にベルギーに行く友弥人。
フラマン人の友人から
「一緒にベルギービールを飲みながら、日本対ベルギーの試合を見よう」
と誘われています。

 何でも受け入れるベルギー人、その時、日本が勝ったら、一緒に喜んでくれるだろうか????

by mikiris


第32回 (2002年 7月1日) * エコな話

 オランダの田舎を走っていると、あちこちに風力発電を見かけます。
新式の機械で、電柱に鉛筆のように細い羽が3枚付いています。

 ほんの少しの風でも羽根が回って発電できます。
見た目も悪くないし、原子力発電よりずっと良いのに、日本ではあまり取り入れられてない。
 たまに見かけると嬉しくなります。

 オランダはとてもエコロジーに気を使っている国。
環境破壊で地球が温暖化すると、国土の3/4が海面下の国には深刻な問題です。

 3年前にもハーグ市の運河が氾濫して、町中が水浸しになりました。
常宿のホテルには高さ1mの所に水のつかった跡が残ってました。

 友人の店に行き、
「洪水で店の商品は大丈夫だった?」 と聞くと、

アンティーク家具を扱っている彼は
「店の中で箪笥が全部、水に浮いていたんだ。
絨毯は取り替えたけど、箪笥は大丈夫だったよ」

 普段は底の方に緑色の水がドヨンと溜まっているような運河です。

 冬は底まで凍って、スケートリンクになり、夏は発掘屋さんの猟場。
ある時は要らなくなった自転車を捨てる場所。
運河の周りは石畳の歩道とパーキング・メーターで車を止めるスペース。
どう考えても、これが氾濫するようには思えない。

 京都の賀茂川も昔、氾濫したらしい。
平安時代、後白河天皇は
「意のままにならぬ物、賀茂の流れと賽の目と比叡山の僧兵」
と嘆いたそうです。

 大雨の翌日、賀茂川を見ると納得がいく感じ。
普段は草ぼうぼうの中州が見えて、鷺が立っているようなのどかな川。
それが、泥水の濁流になって水位ももの凄く上がってる。
 あの運河もこんな風に濁流になって、町にあふれたのか、、、

 国中を蜘蛛の巣を張ったように、こんな運河や川が流れています。

 小さな川や運河ではポンポン蒸気船のような小さな船、
河口近くの大きな川では大きな船を見かけます。

 オランダでは高速道路のあちこちに跳ね橋があり、
船が通過するときは橋が上がります。
車は止まって待つのですが、皆、エンジンを切ってしまいます。
 高速道路で車が大渋滞しているのに、物音一つしない不思議な状態。

 ドライバー達はドアを開けっ放しにして、風を入れたり、
車から降りてストレッチしたり。
 青空の下、跳ね橋の下を通過する船のエンジンだけが響く。

「う〜ん、シュールな感覚」
自然を大切にしなくちゃ。

by mikiris


第33回2002年8月1日)  日本のハリウッド

 京都市内をウロウロしていると、映画やテレビのロケを見かけます。
平安神宮、岡崎周辺、下鴨神社、広沢の池、大覚寺、吉田山や京福沿線、他住宅街など。

 一番多いのは、加茂川の土手。
橋の上で5人くらいが集まって下を見おろしているのを見かけたら、きっと川原でロケをやってる。
周りには設営機材を積んだのや、スタッフ用のワンボックスが3台ほど止まっているはず。
 
 先日は平安神宮前で見ました。 パトカーのようでパトカーでない、変な車がありました。
上下、白黒に塗り分けてあるのに、京都府警と書いてない。
はは〜ん、刑事ドラマのロケをやってたんだ。

 そのあたりにはスタッフの人が忙しそうに機材の片づけをしている。
どのドラマでここが出て来るんだろう?

 ある日、合気道の稽古の帰り。
隣の下鴨神社で夜のロケがありました。
「何か、興味あるー」
と見に行きました。

 時代劇の立ち回り。
ライトを煌々と照らして撮影中。
私はちょっと離れた暗いところから見学。

「ハッ」
何か、人の気配!
 見上げると木の上に忍者が、、、、
次の場面のスタンバイをしてたんだ。

 京都に住んでいると、こんな事を見かけるのも多いけど、そればっかりじゃない。
映画やテレビに出演するチャンスも多いのだ。

  私、数十年前に高倉健さんと共演したの。
映画のエキストラのアルバイト。

 丸山公園の中に長楽館という古い喫茶店があります。
そこに来ているお客さんの役。
健さんが店に入ってくる時、レジでお金を払って出ていく人。

 友弥人もいろいろ出ています。
「水戸黄門」で町の中を歩く”行商人”。
「極道の妻たち」で組員の役。
 
 組長宅の玄関でお出迎えをする組員A。(Aと言うよりABCDEF-Gくらい)
出迎えたのは主演の岩下志麻さん。
実物は映画より、ずっとずっときれいで光り輝く美しさだったそうです。

 現代劇は自前の私服のままで出演か、衣装があっても着替えが楽です。
時代劇は大変。
かつらを付けて、ドーランを塗ってもらって、着物に着替え。

 エキストラの役は立っているだけか座ってるか、通行人くらい。
私たちの様に単発のアルバイトもいれば、半分プロの人もいる。
 テレビドラマのシリーズ物など、後ろの人をよくよく見れば、
同じ人が何回も出ていたりするんですよー。


by mikiris


第34回2002年9月1日)機内食

 海外旅行に行くとき、最初の楽しみは機内食。
各国、各航空会社によって違うので、毎回、どんなんが出るか、期待してます。

 初めて海外に行ったのは25年程前、エールフランスでパリへ。
当時は成田からアンカレッジ経由で北極の上を通って、ヨーロッパへ。
16時間の空の旅です。

 エールフランスは乗ったとたんに、もう日本じゃない。
あちこちからフランス語のささやきが聞こえたり、香水の香り、何か違う。

 1時間ほどで食事です。
30X40cmのトレイにミニチュアの食器がいっぱい乗ってる。
そこにミニチュアのフランス料理、フルコース。
 
 オードブル、サラダ、メインのお料理2種類、デザートの果物、ケーキ、珍しいチーズ。
チーズにはクラッカーも付いているし、調味料も色々。
胡椒、ドレッシング、バター、ジャム、有名なブルゴーニュ地方のディジョン・マスタード(mutarde de dijon)。
 可愛くて、全部持って帰りたい!

 エア・インディアでタイへ行ったとき。
機内食は本格インドカレー。
日本のカレーとは全然違う。
野菜の煮付けがカレー味になった物。
 付け合わせは細長いタイ米。
パラパラしてて、美味しい。
サリーを着た人がサービスしてくれました。

 全日空でイギリスから日本へ帰るとき、1991年2月、湾岸戦争勃発の危機、真っ最中。
私と友弥人は開店前の仕入れで荷物がいっぱい。
旅行鞄は一人60kg以上あって、二人で120kg越え。
超過料金を取られないか、心配だ。

 チェックイン・カウンターで計量器に荷物を載せても、何とも言われません。
「座席は前の方が良い、、」とか言いかけると、
「空いているから、好きな席に座って」だって。
 数百人乗りのジャンボ・ジェットに乗客40人。
全員が4人掛けの椅子を占領して、横になって寝ても、空席が目立つ。
その時の食事は「豚の角煮」、とっても美味しかった。

 印象深い事はどうでも良いことでも以外に覚えている物ですね。

 イギリスの航空会社、ブリティッシュ・エアウェイズではアンカレッジ経由の頃、アフタヌーンティーがありました。
サンドイッチやケーキ、スコーンと紅茶です。
これを入れると日本からヨーロッパに行く間に4回も食事が出ます。
多すぎて、全部は食べられない!

 現在、直行便で日本からヨーロッパに行く時、2回食事がでます。
昼食と朝食くらいの分量。

 昨年、倒産したベルギーのサベナ航空でも2回食事が出てました。
2回目は「sushi service」。
5cm角の笹巻き寿司2個がポロン、ポロンとテーブルに配られて、終わり。
 いくら少食の私でも満足できない。

 安いのでサベナを利用する友人も多かったのですが、皆、お弁当持ちで乗ってました。
この頃から「機内食は楽し」の夢が破れて、座席も小さく、キュークツになりました。

 ある時、ドイツのルフトハンザ航空の食事で、私の嫌いな生タラのマリネーが3回も出てきました。
生の魚の油漬け、べたべたして気持ち悪い。
目の前に置かれても、気分が悪い。
食事は全部パス。

 最近は搭乗前に予約して、特別食を用意してもらってます。
飛行機の乗客にはコレステロールの高い人、糖尿病の人、塩分控えめの人、
宗教上の理由で食事制限のある人、いろいろです。
 どの航空会社も30種類位、こうした特別食を用意してあります。

 私はいつもベジタリアン。
ベジタリアンにも何種類かあり、卵、ミルクOKの人、絶対に野菜だけの人、等々。
それにウエスタンかアジアンかのチョイスがある。

アジアン・ベジタリアン(asian vegetarian)はカレー。
本格インドカレーなので、好き嫌いがあると思う。
 私は大好きだけど、友達は嫌いだと言ってます。

 厳しい、厳しい、ウエスタン・ベジは葉っぱがチョロチョロとトレイに乗っているだけ。
お弁当を持って行って、サラダ代わりにはいいかも知れない。

 海外に持っていくお弁当は関空で買います。
奈良県、吉野の名物「柿の葉寿司」
柿の葉で押し寿司を一つずつ包んであるので、3日くらい日持ちする。

 ホテルに到着してから、ペットボトルのお茶と一緒に晩ご飯にしたり、
時差ボケで早く目が覚めた時につまんだり。

 近年、美味しくない機内食。
ブロイラーの鶏の気分になります。
将来、別料金で松竹梅、など好きなお料理を予約できるようになったら嬉しいな。
やっぱり、私は京風懐石料理かな。

by mikiris


第35回(2002年10月1日)文化の違い
 
ある日、ベルギー人のミッシェルから質問されました。
「日本人はなぜ大人を養子にするの?」
「日本では大人を養子にする家は多いよ。
「昔から、家督を継ぐと言って、  子供のない夫婦は
名字と家の財産を引き継いでくれる人を養子にするんです。」

「ベルギー人には考えられない事です。」
「じゃあ、家や財産は誰の物になるの?」
「誰も相続する人がないと国の物になるし、それが良いと思う。」
「でも、家系が途絶えてしまうし、商売をしていて継ぐ人がなかったら、
 それもなくなってしまうじゃない。」
「ベルギー人はそんな事を考えないなぁ」
 
 店も会社も生きている内に売ってしまって第二の人生を楽しむ。
知り合いにも何人かいます。

 そう言われれば、いつも仕入れに行く田舎の骨董屋さんは
そのあたり一帯の遺産相続処分品を扱っている。
行く度に店内が別の店みたいになっている。

 ある時は吊りランプの店。
「ランプのコレクションをしていた人が亡くなったので、引き取ったんだ」
 ある時はガレやドームの花瓶がいっぱい。
又ある時は元禄伊万里や中国のお皿の店になっている。

 家族の誰かが亡くなったとき、物や土地で分けると喧嘩になるので、
全部お金に換えて相続するそうです。

 養子と言えば、フランスやベルギーでは外国人の子供を養子にする人が多い。
白人の夫婦に 「うちの息子です」
と紹介された男の子が黒人だったり、アジア系だったり。
 「へっ」 と思って私の目が点になっているのか、
「コンゴ人の子供を養子にしたんです。」 とか
「ベトナムの子供を養子にしました。」 と説明してくれます。

 知り合いの貴族出身のフランス人(名前にdeが付く)いわく
「昔から貴族は国際結婚が多いんだ。
 僕も祖父はギリシア人、母はイタリア人、
 親類の中でフランス人は僕一人だけ」
 
 近頃は、「これが普通なのだ」 と慣れてしまって
国籍や肌色の違う家族を紹介されても驚かなくなりました。

 食文化の違いも色々あります。
フランスに行って、レストランに入ると
「やっぱり日本と違うなー」 と思うことが多いのです。

 まず、席に着くとフランスパンのぶつ切りがカゴに入って出てきます。
 でも、パンを置く皿がない。
「取ったパンはどこに置いたらいい?」
と友達と顔を見合わせる。
 何となく、ずっと手に持ったまま。

 最初の料理が来たので、そのお皿の端っこにパンを置いて、ナイフとフォークで食事する。
食べ終わって、ナイフとフォークを揃えてお皿の上に置き、
やっぱり食べかけのパンを置く場所がないので、お皿の端っこに仮置き。

 店の人がお皿を下げに来て、ナイフ、フォークをテーブルの上に戻し、
仮置きしていたパンもリノリュームのテーブルの上に直に置かれてしまった。
「汚いやんかー!!」 
 周りを見ると、皆、パンをテーブルに直に置いている。
 
ナイフもフォークも料理ごとに取り替えないので、同じ物で最後まで行く。
これがフランスのビストロ流。
 高級レストランに行くと、料理ごとにナイフもフォークも取り替えてくれますが、パン皿はない。
清潔なリネンのテーブルクロスの上に直に置く。

 フランスでは食事の時、パンにバターを付けません。
すでに料理にたくさん使っているからです。
パンにバターを塗るのは朝食の時だけ。
 クロワッサンにはジャムを塗りますが、バターは塗らない。
これもクロワッサンが生地にバターをたくさん練り混んだパンだからです。

 このビストロのコース料理に付いているデザートは桃。
小振りの黄色い桃が丸ごと出てきます。
ナイフ、フォークを添えて。。。

 友達に 「これ、どうして食べるの?」 と聞くと
「ナイフとフォークで皮をむいて、切って食べるんや。
 手で触ったらアカン」
難しいけど、そこは手先の器用な日本人、何とかできました。

 レストランでリンゴやバナナが出てきても、手でつかんで食べてはマナー違反。
お皿の上でナイフとフォークを使って、上手に皮をむいて切り分けて食べるのです。
 こういうデザートは避けて通る方が無難。

 食事の最中にスープをズビズビ飲むのもマナー違反。
日本語で 「スープを飲む」 と言うのですが、
フランス語では”manger la soupe"「スープを食べる」です。

 大きなスプーンにスープをすくって、スプーンごと口に入れ、スープを食べます。
郷に入っては郷に従え。
訪問先の国のマナーを守らないと、周りの人に不愉快な思いをさせてしまいます。

 一昨年、知り合いのフランス人が留学して京都に来ていました。
日本でなら東大の大学院のような所で勉強している24歳の優秀な男の子です。
背が高くて、サッカーのベッカム選手によく似ています。
 日本の大学でプラズマの研究をしていました。
学業優秀なだけでなく、物理にトンチンカンな私にもわかりやすく色んな事を説明してくれます。

 「プラズマって何?」 とか「発光ダイオードは何の役に立つ?」等の私の初歩的な質問にも
「ラジカセやテレビで赤く丸いのが光っているでしょ。
 あれが赤色発光ダイオードです。」と忍耐強い。

 その男の子が研究室の先生や仲間と合宿に行きました。
ドライブインで信州蕎麦を食べたそうです。
10人程のグループ全員がズルズルーッとお蕎麦を食べて、ズズズーッと汁を飲んで

「先生はとてもとても偉い人なのに、音を立ててお蕎麦を食べました。
 僕は恥ずかしくて、下を向いて真っ赤になりました。」

 その彼も一年間の留学を終えて、帰国する日が近づき、
アパートに招待してくれて、お別れ会をしました。
お皿に載せたスパゲティをお箸でズズズーッ!!
「ロベール、あんた、何、その食べ方!?」 と叫ぶと
「僕も一年間日本にいて、日本の食べ方になりました。」

by mikiris


第36回(2002年11月1日)チャイナタウンのにぎり寿司

 ロンドンで一番お気に入りの場所は地下鉄ベイスウォーター(bayswater)周辺です。
ここらあたりはイラン人、ギリシャ人、フランス人、中国人等々、異国の店が充実してます。
 リーズナブルで美味しいレストランと激安ショップが交互に並んだ1kmほどの通りです。

 ある時、この通りに日本のにぎり寿司の店が出来ていました。
回転寿司やテイクアウトのにぎり寿司はあちこちにあるのですが、ここは違う。
白木のカウンターがあって、板前さんが立っている。

 店前には日本語で「アルバイト募集」と貼ってある。
のれんが掛かっていて、本物のお寿司屋さんみたい。
 ショーウインドーにお箸やお猪口が飾ってある。

 私は外国に行って日本料理なんか絶対食べたく無いんだけど、
良く一緒に仕入れに行く家具ディーラーは行きたがる。

 しょっちゅう、「美味しい豚カツや見つけたんや。一緒に行こう。」とか
「あそこのテイクアウトの寿司はうまい。」とか言ってます。
 ホテルの部屋でも、日本から手持ちのワカメスープとテイクアウトの卵チャーハンで一人ディナーしてます。

 友弥人とこの家具ディーラーが2人で仕入れに行きました。
この2人、中身は子供で見かけがゴッツイおっさん達です。
食べることには人一倍執着しています。

 さて、この二人、そのお寿司屋さんに入って、ナンカ変。
小さな店内にはカウンターと椅子席4つ。
「お銚子1本と寿司○○XX○○」
と注文したところ、店の人は全然わかってくれません。

「何や、ここ、日本語が通じひんのかー」
「寿司屋やのに、なんやー」と2人はボロクソ。
 いずれにしても、店の人には通じてない。
中国人の寿司職人(?)経営の店でした。
結局、その店で豚カツ定食(ペラペラに薄くてマズイ)を食べて帰りました。

 2人とも、仕入れでロンドンへ行った際、一度はそのあたりへ食事に行くので
「あの店、まだあったか?」「まだ、あった」と情報交換しています。

 この町は世界中から旅行者の集まる町。
地下鉄やバスで移動して、地図を片手に歩き回る人が来るところ。
小さなホテルやフラットがたくさんあるので、大きな旅行鞄を引きずった人が一日中歩いてる。
添乗員、食事付きの豪華ツアーの人たちはやって来ないところ。

 ここに来る旅行者はドイツ人の家族連れだったり、高校生の修学旅行だったり。
ホテルも食事も安い方がいい。

 地下鉄ベイスウォーター駅のそばに中華レストランが向かい合って2軒ある。
1軒は地元の人も多数通う、安くて美味しい店。
 丼鉢に山盛りの卵チャーハンが1ポンド、190円です。

 その店で遅い昼食の飲茶を取りながら、向かいの店をウォッチング。
向かいは白と黒に塗り分けたガラス張りのモダンな店。
 中華バイキング £3,75 なんて看板が出ている。
しかして、その実体は?

 街灯に誘われる蛾のように次々と旅行者が餌食になる。
中で食べている人も、出てくる人も不満足な顔。
 きっと、マズイんだ。

 この町に2度来る観光客はほとんど無いから、1度行った人が2度と行かない店でも全然平気。
やっていけるみたい。
「一期一会」なんて、あったもんじゃない。

 初めてのレストランに入る前は、食事をしている人、済ませた人が幸せそうな店を選びましょう。

  by mikiris


第37回2002年12月1日山の中の骨董店

 ベルギー人ディーラー夫妻と一緒に骨董探しのドライブに行くことになりました。
普段行ったことのない道を通って新しい骨董店を探します。

 ブリュッセルのサブロン広場で待ち合わせて、車1台に4人が乗り込みます。
骨董屋の車はどこの国でも同じ。
荷物がたくさん積めるワゴンです。

「高速道路を通らずにリエージュまで行ってみよう。
途中に何軒か骨董店がみつかるだろう。」とベルギー人夫妻。
彼らにとっても初めての道です。
「一日走って、何も仕入れる物がなかったらごめんね」

 4人でワイワイガヤガヤ、世間話をしながら車を走らせます。
リエージュはベルギーの東の方、ドイツよりの町。
ブリュッセルから高速道路をビューンと飛ばしていくと1時間半くらいの距離。

 あまり車の通らない国道を左右キョロキョロしながら進みます。
4人とも意気込んで「アンティークの看板を見つけろー」
そうしたら道端に アンティーク と書いた立て札があった。
「あったー、アンティークだー」

 急ブレーキをかけて車をバックさせ、横道にはいる。
そこにはプレハブの家が一軒。
周りには壊れたキャンピングカーや冷蔵庫、テレビが雨ざらし。

 くすんだ窓ガラスの家の中に入るとガラクタの山。
こういうのをフランス語でbric-a-brac(ブリッカブラック)と言う。
「入らない方が良かったかなー」
 骨董店に入って何も買う物が無いと、つい、そう思ってしまう。
「何か買いたいと思って来たのですが、私に向く物が無いんです」

 ベルギー人夫婦は店の人と話をしている。
「日本からアンティークを買いに来たディーラーだ」
なんて、恥ずかしいー。
 
 山積みのガラクタの中にアールデコのリキュールセットがあった。
まず、戦利品1個。
どんな所でもあきらめてはいけない。

 もう少し走ると、又、アンティークの看板。
ここはさっきの店より上等だ。
壊れた電化製品も転がってないし、店も黒っぽい木と石の組み合わせでできた良い雰囲気。

 他にもお客さんがいた。
メアリ・グレゴリーのガラスやウィーンの蓋物、色々仕入れてまずまずの成果。
ベルギー人夫婦がフラマン語で値段の交渉をしてくれる。
私たちも「全部で○○フランにしてくれるのなら」と指し値をする。

 あまりメチャクチャな値段を言わなければ、東洋人なので珍しがって言い値で売ってくれる。
「やっぱり、ブリュッセルのサブロン広場で買うより安いね」
と話しながら再出発。

 その後、何軒か骨董店を見つけても閉まっている店が多い。
「土・日以外は閉まっている店が多いんだ」とベルギー人。

 リエージュに到着。
町の中心に地下駐車場がある。
積んでいる荷物を見え無いように隠して、町の中を探索しに出かけます。
 車の中に荷物を残しておくと、すぐに窓を割られて盗られてしまう。
これだけは絶対に注意。

 リエージュの町は小さいけれど活気がある。
学生や観光客、町の人で溢れている。
なのに、骨董店がない。

 何軒か見つけても、何となくフィーリングがあわない。
あまりにもギャラリー風だったり、ボロボロすぎたり、、、
 アーケードの下、宝石店がありました。
覗いてみると、激安!
日本の十分の一位でしょうか。
ショーウインドーの前に足が釘付けになってしまいました。
 
 ずーっと見てると、ちょっとわかってきた。
ここにある宝石は新品でもアンティークでもない宝石。
セコハン・ショップでした。
ベルギーにはあちこちに中古宝石の店があります。
 オランダと並んでダイヤモンドで有名な国です。
イカン、イカン、こんなのを見てる場合じゃない。
仕入れに専念しなくては!

 リエージュからブリュッセルへ戻る道は別のルートを取りました。
今度は山の中をグネグネと通っていきます。
 何軒かの骨董店を見つけては入り、少し行っては止まり、の繰り返し。
国道沿いには家具を扱う店が多い。


 一軒、大きな店がありました。
農家の納屋を改造したような店。
元は大きな牛小屋だったのかもしれない。

 奥の方まで家具がぎっしり。
天井にはランプが吊ってあるし、家具の他にも小物がある。
マイセンの人形やリモージュの食器、銀の燭台など。
 やはり、ここにも何人かの先客。
骨董好きは臭いがするのか、どこに店があっても探し出す。
日本から海を渡って、ベルギーの山奥に来るくらいの人もあるんです。

 その店の隣に小さな店がありました。
どこかで見たような物ばかりある。
木彫りのミッキーマウス、パブの看板、日本の九谷っぽい壺。
白雪姫と七人の小人もいるよ。
 ベルギー人夫婦が「これはメイド・イン・タイワンだ」

 ブロンズの写真立てやエナメルの写真立てがある。
私が「これは知ってる。メイド・イン・イタリーだ」

 天井にはブロンズの天使が付いた照明器具もある。
白やピンクのガラスの傘は別売りで1個数百円。
うーん、良心的だ。
リプロの品を卸売りする店を見つけた!

 海外から仕入れたリプロをこんな山の中で売るなんて、、
変な所で変な物を見て、複雑な気分。
とっても印象的な一日でした。

  by mikiris


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